池井戸潤は「半沢直樹」シリーズの原作者として知られ、銀行・企業再生・町工場など「仕事」をテーマにした小説の多くがドラマ化・映画化されている。どの作品も単体で読めるが、代表作を刊行順・映像化順で辿ると、池井戸潤作品に共通する「組織の中で筋を通す人間」というテーマの広がりが見えてくる。この記事では書店員の視点で、初めての1冊から映像化作品を軸にした読む順番までを整理した。
まず1冊だけ読むなら
最初の1冊として迷わず勧められるのは、半沢直樹シリーズの原点『オレたちバブル入行組』(楽天ブックス / Amazon)。2004年刊行の銀行小説で、2013年にTBSで堺雅人主演のドラマ「半沢直樹」として映像化され、民放ドラマ史上最高クラスの視聴率42.2%を記録した。「やられたらやり返す、倍返しだ」のセリフで社会現象となった作品の原作であり、組織の中で理不尽と向き合う池井戸作品の芯がもっとも分かりやすい1冊になっている。
直木賞受賞作と映像化作品で辿る
半沢直樹で注目されたあと、池井戸潤は銀行以外の「仕事」を舞台に次々と作品を発表し、そのほとんどが映像化されている。
『下町ロケット』(楽天ブックス / Amazon)(2010年刊)は、町工場がロケットエンジンの部品開発に挑む物語で、2011年に第145回直木賞を受賞。中小企業のものづくりと大企業の思惑がぶつかる構成はシリーズ化もされ、累計350万部を超えるヒットになった。
『陸王』(楽天ブックス / Amazon)(2016年刊)は、老舗足袋メーカーが陸上用シューズの開発に挑む物語で、2017年10月から12月にTBSで役所広司主演のドラマとして放送された。地方の中小企業が新しい市場に挑む構図は下町ロケットと通じるテーマを持つ。
『アキラとあきら』(楽天ブックス / Amazon)(2017年刊)は、対照的な家庭環境で育った2人の銀行員の半生を描いた物語で、文庫化後50万部を突破する人気作となり、2022年8月に竹内涼真と横浜流星のW主演で映画化された。
読む順番まとめ
- 初めての1冊:『オレたちバブル入行組』(楽天ブックス / Amazon)(半沢直樹シリーズ原点・ドラマ視聴率42.2%)
- 代表作を刊行順で:『オレたちバブル入行組』(楽天ブックス / Amazon) → 『下町ロケット』(楽天ブックス / Amazon) → 『陸王』(楽天ブックス / Amazon) → 『アキラとあきら』(楽天ブックス / Amazon)
- 映像化作品を先にチェックしたい人:『オレたちバブル入行組』(楽天ブックス / Amazon)(ドラマ・堺雅人)→ 『陸王』(楽天ブックス / Amazon)(ドラマ・役所広司)→ 『アキラとあきら』(楽天ブックス / Amazon)(映画・竹内涼真×横浜流星)
池井戸潤の作品はどれも1冊で完結するため、どこから読んでも物語自体は楽しめる。ただ刊行順・映像化順で読むと、半沢直樹から下町ロケット、陸王へと「組織の中で筋を通す人間」というテーマが少しずつ舞台を変えながら広がっていった流れが見えてくる。まずは手元に1冊、気になったタイトルから読んでみてほしい。
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