松村圭一郎『小さき者たちの』(ミシマ社)——このタイトルは、途中で終わっている。
「小さき者たちの、何?」と思いながらページをめくると、著者はその答えを用意していない。代わりに、世界の「辺境」や社会の「隅っこ」に生きる人たちとの出会いが、静かなページに積み重なっていく。
著者・松村圭一郎とは
岡山大学文学部准教授(文化人類学)。エチオピアやアラブ圏でのフィールドワークを軸に、「交換」「贈与」「所有」といったテーマを長年探究してきた。前著『うしろめたさの人類学』(ミシマ社)では、「自分だけ得している」という感覚を手がかりに現代社会の構造を問い直し、ロングセラーとなった。本書はその問いの続きを生きるような一冊だ。
「小さき者たち」とは誰か
大きな経済や政治の物語から、こぼれ落ちてしまう人たち——と言うと、少し説明的になりすぎる。
著者が出会ってきた人たちは、別に「弱者」ではない。競争から外れているわけでもない。ただ、今の社会が「成功」と呼ぶものとは別の軸で、暮らしを組み立てている人たちだ。
その暮らしの中に、現代人が失いかけている何かが宿っている。著者はそれを、「共同体」と「共生」という言葉で手繰り寄せようとする。タイトルの「の」は、読んだ人が自分で埋めるように設計されている。
こんな人に読んでほしい
- 「競争」や「効率」という言葉に疲れてきた人
- 社会の「外側」にある別の生き方に関心がある人
- 哲学・思想の本は好きだけど、難解すぎるのは苦手な人
- 『うしろめたさの人類学』(松村圭一郎)が良かった人
- ミシマ社の本が好きな人
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