「農業を継ぐ」と聞いて、どんな場面を思い浮かべますか?
後継者不足、高齢化、耕作放棄地……ニュースで見る農業の話は、どうしても問題や課題としてやってくる。
でも、高橋久美子さんの『わたしの農継ぎ』は、そういう本じゃない。
チャットモンチーから、農へ
高橋久美子さんといえば、チャットモンチーの元メンバーとして、また作詞家・エッセイストとして知られる存在。
その高橋さんが、農業を継ぐという選択をした。
都市から地方へ、音楽から農へ。その移動の軌跡と、農を「受け継ぐ」ということの重さと豊かさを、この本は丁寧に書いている。
「継ぐ」は、重たいことだけじゃない
農業を継ぐというと、義務とか責任とか、なにか重いものを背負うイメージがある。
でも高橋さんが描く「農継ぎ」は、もっと柔らかい。
土に触れること、季節とともに生きること、誰かから受け取ったものを次へ渡すこと。それは重荷ではなく、「つながること」の喜びとして語られる。
農業という言葉に乗っかりがちな重さを、高橋さんの文章はやわらかくほどいてくれる。
今の時代に「農継ぎ」を読む意味
移住、Iターン、地方での暮らし。近年、都市から地方へ向かう人が増えている。
その動きの中で、「農業を継ぐ」というのは一つの具体的な答えだ。でもその答えに至るまでのプロセスを、誰も正直に書いてくれない。
高橋久美子さんの『わたしの農継ぎ』は、そのプロセスを正直に書いた本だと思う。きれいな移住物語じゃなく、迷いながら、受け取りながら、それでも続けていく話として。
音楽が好きな人にも、農業や地方暮らしに漠然と興味がある人にも、「継ぐこと」の意味を考えたい人にも、届く一冊だと感じた。
のこのこ書店にあります
高橋久美子さんの『わたしの農継ぎ』、のこのこ書店に2冊入荷しています。
ぜひ一度、手に取ってみてください。
