日々の生活のなかで、ふと浮かんで、そのまま消えていく感情や言葉がある。「これ、言葉にするほどのことじゃないか」と流してしまう、小さな違和感や発見。せきしろ『そんな言葉があることを忘れていた』は、そんな”流してしまいがちな瞬間”を丁寧にすくいとったエッセイ集です。
せきしろという作家について
せきしろは、又吉直樹との共著『まさかジープで来るとは』をはじめとする自由律俳句シリーズで知られる作家・俳人です。五・七・五のような定型に収まらない、日常のつぶやきをそのまま言葉にするスタイルは、本作の随筆にも通じています。構えずに、生活のディテールをそのまま文章に落とし込む筆致が持ち味です。
読んでいて「わかる」と思ってしまう理由
この本の魅力は、大きな事件や感動的なエピソードではなく、「あの感覚、知ってる」と思わせる小さな発見の積み重ねにあります。電車の中で見た風景、誰かとの会話の中の一言、ふと忘れていた言葉——そうした断片が、読むうちに自分自身の記憶や感情を呼び起こします。難しいことを言っているわけではないのに、ページを閉じたあとに少しだけ世界の見え方が変わる。そんな読書体験です。
こんな人におすすめ
忙しい日々の中で「何かを感じていたはずなのに、忘れてしまった」という感覚に心当たりがある人。隙間時間に少しずつ読める短編的な構成なので、通勤・通学中の読書にも向いています。
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