あなたは最後に、「ああ、生きていてよかった」と思ったのはいつですか。それは旅行や特別なイベントではなく、台所で果物を煮ている午後だったり、道端で猫と目が合った瞬間だったりするかもしれません。
くどうれいん『桃を煮るひと』は、そんな「日常のなかに宿る愛おしさ」を丁寧に掬い取ったエッセイ集です。ミシマ社から刊行されたこの一冊は、詩人でもある著者ならではの繊細な言語感覚で、見過ごしがちな日々の断片をすくい上げます。
著者・くどうれいんとは
くどうれいんは1994年生まれ、岩手県盛岡市出身の詩人・小説家・エッセイスト。詩集『食器と食卓』でデビューし、小説『氷柱の声』で第165回芥川賞候補に。エッセイ集『わたしに無害なひとたち』は多くの読者を獲得し、若い世代を中心に絶大な支持を誇ります。標準語でも東北弁でもない、彼女だけの語り口——盛岡の空気と東京の喧噪の間で磨かれた言葉は、読む人の記憶のどこかを静かにノックします。
読みどころ① 食卓と、誰かのための時間
タイトル「桃を煮るひと」に象徴されるように、本書には「食べること」「作ること」「誰かと一緒にいること」が丁寧に描かれています。料理をするという行為は、単なる調理ではなく、その人との時間をつくること——そういう温度が、ページのあちこちから滲み出ています。誰かのために桃を煮た記憶がある人も、そんな人に煮てもらいたいと思っている人も、きっとここに帰ってこれる場所があります。
読みどころ② 小さなものへの視線
くどうれいんの観察眼は鋭く、かつやさしい。大きな出来事ではなく、道端で見つけた落ち葉、隣の人の仕草、自分の部屋の光の変化——そういう「ちいさなこと」に意味を見出す視線が、読み手の日常の解像度を上げてくれます。本を閉じたあと、いつもの通勤路や自分の台所が、少し違って見えるはずです。
読みどころ③ 記憶と言葉の交差点
岩手で育ち、今も東北に根を張るくどうれいんにとって、言葉は地名や食べ物や季節と結びついています。ある記憶を語るとき、その土地の気候や匂いがさらっと忍び込んでいる——そういう書き方が、文章に奥行きを与えています。地方出身者には懐かしく、都市生活者には新鮮に映る、独特の温度感がここにあります。
こんな方におすすめ
- くどうれいんをまだ読んだことがない方(入門に最適)
- 詩・エッセイが好きな方
- 日常の小さなことを大切にしたいと思っている方
- 料理・食卓が好きな方
- 地方出身・地方在住で土地の記憶を大切にしている方
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『桃を煮るひと』はのこのこ書店に在庫2冊ございます。ぜひネットショップでお求めください。(購入リンクはスタッフが在庫確認後に設定します)
まとめ
くどうれいん『桃を煮るひと』は、忙しい毎日の中で見落としがちな「日常の愛おしさ」を言語化した一冊。読んだあとに世界の色が少し変わる——そんな体験ができるエッセイ集です。のこのこ書店で、ぜひ手に取ってみてください。
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