タイトルを見た瞬間、少し胸がざわつきませんでしたか。
「そんな言葉があることを忘れていた」。
どこかで聞いたはずなのに、いつの間にか使わなくなった言葉。子供のころは当たり前に知っていたのに、大人になる過程でどこかに置いてきてしまった言葉。せきしろさんは、そういう言葉の「忘れ物」を静かに拾い集めて、この一冊に詰め込んでいます。
せきしろという書き手のこと
せきしろさんは1966年生まれ、北海道出身の俳人・作家です。自由律俳句の書き手として独自の地位を築き、又吉直樹さんとの共著『カキフライが無いなら来なかった』『蕎麦湯が来ない』でその名前を広く知られるようになりました。
せきしろさんの作品に一貫して流れているのは、「誰もが経験しているのに誰もうまく言語化できなかった日常の感触」を言葉として掬い上げる力です。劇的なドラマは要りません。大事件も不要です。ただ、スーパーの閉店間際の蛍光灯の色とか、電車の中で誰かが読んでいる本のタイトルがちょっと気になる感じとか——そういう「でも確かにある」瞬間を、じわりと言葉にしてみせる。それがせきしろさんの文章の、不思議な引力の正体です。
「忘れていた言葉」を拾い集める旅
本書はエッセイ・随筆集です。「日常のささやかな発見」というジャンルの記述がある通り、大きなテーマを掲げているわけではありません。むしろ逆です。小さければ小さいほど、せきしろさんの筆はぴたりと合ってくる。
言葉という素材を扱うこの本で、せきしろさんは読者に静かに問いかけます——「あなたも、この言葉を忘れていませんでしたか?」と。
読んでいると、自分の記憶の奥底にしまわれていた言葉や感覚が、ふっと浮かび上がってくる瞬間があります。「そう、それ!」という感覚。あるいは「そういえばそんな言い方、昔していたな」という、ちょっとした時間旅行。エッセイとして読んでいるのに、いつの間にか自分の言葉の棚卸しをさせられている——そういう不思議な読書体験ができます。
こんな方に、ぜひ手に取ってほしい
- 『カキフライが無いなら来なかった』でせきしろさんを好きになった方
- 日常のあるある感・哀愁を言語化した文章が好きな方
- 言葉を書くこと、読むことが好きな方(クリエイター・ライター・ブロガーにも)
- 忙しい毎日の中で、ふと立ち止まって自分の言葉を見直したくなっている方
厚くもなく、読み解くのに力も要らない。でも読み終えたとき、自分の語彙の引き出しを開け直したような気持ちになる——そういう一冊です。
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現在、のこのこ書店には在庫1冊のみのご用意となっています。再入荷の予定は未定です。
「ちょっと気になっていた」という方は、ぜひお早めにどうぞ。日常のすき間で読めるサイズで、でも確かに何かが変わる一冊——あなたが忘れていた言葉と、もう一度出会うきっかけにしてみてください。
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