挑戦を笑うな。

今日もいちにち、のこのこと

先日、Instagramを見ていたときのこと。
ふと出てきた弾き語り動画を見つけた。

エレキギターで、弾き語りをしているおっちゃんの動画。
ストリートで歌いながらギターを弾いている動画。

失礼ながら、本当にびっくりするくらい下手だ。
下手ながらどこかキラリと光るモノがある!とかもない。
とにかく、下手だ。しかもどこかけだるそうに歌うので、鬼気迫る何かが、、、!みたいなものもない。
コアな人だけが知っている歌を歌っているわけでもなく、ヒットチャートを歌っている。

でも、なんとなく。僕の心は打たれた。
その人の出しているものが素晴らしい!とかではなくて、姿勢がなによりも素晴らしいと感じたんだ。

本人がどう思っているかは知らない。
全くわからない。
けれども、どう思われてもいい、と思っている気がする。

年々、チャレンジすることが怖くなって気がする。
チャレンジが怖いのではなく「自分ができないやつと思われたくない」と思っているような気がする。気がするっていうか、多分そう。
僕が、できるだけ、できる人だと思われたいと思っているような。
この文章もそうだ。
おもしろいとかではなく、「うまい文章が書ける」と思われたいと思っている気がする。

そして、そんなことを考えている自分に嫌気がさす。
うまい、うまくないはどうでもいい、とまでは言わない。
少しでもうまくなりたいと思う。それはとても大切なことだと思う。
けれども、うまくなくてもいいじゃないか、と思う気持ち。伝えたいことがあって、頑張って自分のなかからいろいろなものをひねり出そうとする姿勢。
向き合う心。下手くそを自覚しつつも、必死こいて這いつくばって生きていこうとする気持ち。
それが、僕の魅力だったんじゃないのか、と思う。

その初心を忘れている僕が嫌いだし、チャレンジしようとしたときに地団駄踏んで進めない僕が嫌いだ。
「新しいことをしよう!」とおもって、この地団駄踏むまでの一連の流れがいやで、自分のことを嫌いになりたくなくて、どこかチャレンジできない自分がいるんだ。
そうか。人にどう思われるかを気にしているのもあるけど、それを気にしている自分がいやすぎるんだな。

結局、僕のことは大抵が僕のことだ。
自分のことで精一杯なのだ。

基本的に毎日一人で仕事をしているので人と話すこともなければ相談されることもない。
時折、仕事以外の雑談をするとき、嬉しくていつ切っていいかわからなくなる。
そんな僕でもごくまれに人から相談を受ける。
真面目に答えるものの、やっぱりいつも「僕は僕のことで精一杯だ」って思って帰り道に落ち込んだりもする。

自分のことばかり考えているのに、中途半端に社会と関わろうと思って生きている気がする。

だから、今回みた下手くそなおっさんが、とても心に響いた。
少なくとも、人からどう思われているのかを気にしていないのだろうなと思った。
表現者は人にどう思われるかを考えなければ!的な話もあったりするんだけど、誰かに届けばいいと思って取り組んでいるその姿は、僕にとってはキラキラと映った。

誰かにどう思われてもいいや、って思えるほどの強さはまだまだ持っていないけれども、一人で生きていく弱さもないのだろうなと自分を慰めつつ生きていきたい。
この先も、まだ人生は続くのだから、少しだけでも、明日は、あさっては。1ミリでも誰かになにかを届けられることをしていたい。


書いた人
ドイホクト(https://twitter.com/makeflea
合同会社のこのこ 代表
のこのこ書店店主

「明日も、生きていようかな」
をコンセプトにインディペンデントな出版社の本や古書を販売しています。
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