エッセイ

お気に入りの本たち

「桃を煮るひと」くどうれいん——日常という奇跡を、丁寧に掬い取るエッセイ

くどうれいんさんの文章を初めて読んだとき、「こんな言い方があったのか」と思った。日常の、ごく当たり前の瞬間——桃を煮る、猫を眺める、友人と笑う、朝ごはんを食べる——が、くどうさんの手を通ると、まるで宝石のように輝いて見える。 「桃を煮るひと...
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土門蘭『死ぬまで生きる日記』——「死にたい」と書くことで、生きていける

「死ぬまで生きる」という言葉の重さ 土門蘭の『死ぬまで生きる日記』を手に取ったとき、まずタイトルに息が止まった。死ぬまで生きる。当たり前のようで、当たり前じゃない言葉。誰もがどこかで感じているはずなのに、なかなか口にできない何かを、この六文...
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何度転職しても満たされないあなたへ——ひらいめぐみ『転職ばっかりうまくなる』

「また、転職しようとしている」 そう思い始めた瞬間に、ふと気づく。これって、何回目だろう。職場は変わった。肩書きも変わった。給料も、通勤ルートも、名刺のデザインも変わった。なのに、どこか変わっていないものがある。それが何なのかわからないまま...
お気に入りの本たち

日常に潜む小さな奇跡——くどうれいん『桃を煮るひと』が教えてくれること

「桃を煮るひと」というタイトルを見たとき、何を想像しましたか? 台所で、大きな鍋を前に、桃をぽとりと湯の中に落とす。湯気が立ち上り、甘い香りが部屋に漂う。そんな、ありふれた、しかし何か特別な時間の断片が浮かびませんか? くどうれいんのエッセ...
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直木賞発表日7月15日に読みたい5冊——受賞作家たちが描いた、忘れられない物語

今日、7月15日は直木賞の発表日です。 受賞作の速報を追いかける夜に、少し違うアプローチをご提案したいと思います。受賞作を手にする前に——あるいは受賞作と一緒に——直木賞・本屋大賞・芥川賞を席巻してきた作家たちが書いた名作を読み返してみませ...
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直木賞の余韻とともに読みたい、今いちばん好きなエッセイ5冊

7月15日、今年の直木賞が発表された。 受賞のニュースが流れるたびに、本屋の棚が少し動く。「あの本、うちにあったっけ」と確認して、問い合わせを待って、少しそわそわする。それが書店にとっての、良い意味での忙しさだ。 でも私が一番好きな時間は、...
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忘れていた言葉が、ここに待っていた。——せきしろ『そんな言葉があることを忘れていた』

このタイトルに、胸がざわっとした。 「そんな言葉があることを忘れていた」——何かを具体的に言っているわけじゃない。でも、確実に何かを指している。むかし使っていた言葉。感じていた質感。いつの間にか棚の奥に追いやって、存在すら忘れていたもの。そ...
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「わたしの農継ぎ」高橋久美子|詩人が向き合う、農を継ぐという生き方

「自分が農業を継ぐなんて、考えたことがなかった」——そんな言葉から始まる人生の転換を、チャットモンチーのドラマーとして、詩人・作詞家として知られる高橋久美子が書き綴ったのが本書『わたしの農継ぎ』だ。 愛媛県西条市に生まれた彼女は、長年東京で...
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「50代でフェミニズムを知る」和田靜香|遅くない、今こそ知る身近な政治とジェンダー

「フェミニズムって、もっと早く知りたかった」 そう感じている人が増えている。音楽ライターとして長年活動し、のちに政治・社会問題についての発信でも注目を集めてきた和田靜香が書いた『50代でフェミニズムを知る』は、まさにそんな読者のための一冊だ...
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くどうれいん『桃を煮るひと』——台所から始まる、やさしい世界の発見

台所に立って、桃を煮る。ただそれだけのことが、どうしてこんなに特別なことのように思えるのだろう。 くどうれいんのエッセイ集『桃を煮るひと』を読み終えて、しばらくそのことを考えた。料理でも、手紙でも、散歩でも——誰かのために、あるいは自分のた...