「座右の銘」という言葉を聞いて、どんなイメージが浮かびますか。
厳しい名言、偉人の格言、重厚なカリグラフィーで書かれた掛け軸——そういった「真剣なもの」を連想する方が多いかもしれません。でも本書を手に取れば、そのイメージはあっけなく裏切られます。笑えるのに、刺さる。軽そうに見えるのに、深い。それが、仲野徹先生の座右の銘エッセイです。
「日本で一番面白い科学者」が座右の銘を語る
著者の仲野徹先生は、大阪大学名誉教授で生命科学者。専門はエピジェネティクスという細胞生物学の最前線分野ですが、一方で書評家・エッセイストとしても知られており、難しい科学の話をユーモアたっぷりに語ることで幅広い読者に愛されています。そんな仲野先生が、自分の琴線に触れた「座右の銘」を選び、それぞれに解説とエッセイを書いたのが本書です。「科学者が座右の銘を語る」という組み合わせが、最高にはまっています。
笑えるのに、なぜか刺さる
本書の最大の魅力は、「笑えるのに刺さる」というバランスの絶妙さにあります。仲野先生の文章は、関西弁的な軽快さとユーモアに満ちています。読んでいてクスッと笑えるシーンが随所に出てきます。ところが読み進めるうちに、笑っていたはずが、いつの間にか胸の奥にズシッと来るものが残っている。そのギャップが、本書の独特の読み味を生んでいます。
科学者の言葉の選び方
仮説を立て、実験を設計し、データを解釈し、論文を書く——科学者という仕事は、言葉を精密に選ぶことの連続です。だからこそ、仲野先生が「この言葉が好きだ」と言うとき、その理由の説明が面白い。「なぜこの座右の銘が有効なのか」「どんな場面で思い出すのか」という説明に、科学的な思考の癖が滲み出てくる。そこが、普通の「名言集」とは違う読みどころです。
どこから読んでもOKな構成
本書は、座右の銘ごとに章が区切られているため、最初から読んでも、パラパラとめくりながら気になるところから読んでも楽しめます。「今日は少し気持ちが落ちているな」というときに1章読む、という使い方もできます。ページを開くたびに何か新しい発見がある——そういう類いの本です。
こんな人に読んでほしい
- 仲野徹先生のファン・著作や書評を知っている人
- 自己啓発本が苦手だけど、生き方のヒントは欲しい人
- ユーモアのある文体が好きな人
- 名言・格言が好きだが、真面目すぎるトーンは苦手な人
- 何か一言、背中を押してくれる言葉を探している人
のこのこ書店でのご案内
この本は、のこのこ書店(オンライン)で取り扱っています(在庫1冊)。気になった方はお早めにご確認ください。
読み終えたあと、「ええ言葉、教えてもらったわ」とつぶやきたくなる。そんな一冊です。肩の力を抜きながら、でもしっかり人生のことを考えたいとき。本書をそっと開いてみてください。
