【7/30発売】寿木けい『わたしの美しい戦場』── 食と人との出会いを綴る、3年ぶりの書き下ろしエッセイ

2025年7月30日、新潮社より寿木けいさんの最新エッセイ『わたしの美しい戦場』が刊行されます。
編集者としての経験を経て、宿のオーナーシェフとして生きる日々を丁寧に描いた本作は、食と暮らし、そして人との出会いを通じた人生の再発見を綴る一冊です。

美しいものを集め、丁寧に生きるということ

「美しい色。美しい香り。時間をかけ、心を尽くして旬を集めることは、わたしの生活そのものだ」

本書は、2023年に著者が築130年の古民家を購入し、山梨県に宿「遠矢山房(とおやさんぼう)」を開業してからの2年間を、四季折々の12章で綴ったエッセイ集です。

春にはふきのとうを摘み、夏には桃をかじる。秋は柿を干して鹿肉を焼き、冬は薪を割って柚子を蒸す──
そんな自然の営みとともに生きる日々が、静かに、しかし確かな熱をもって描かれています。

食と人との一期一会の出会い

「もうすぐ赤ちゃんが生まれる人。不登校に悩む人。離婚した人。病が治った人。
なんてことない顔をして、みんな大した人生を生きている」

著者がもてなすゲストたちとの関わりのなかで、人生の奥行きや豊かさが浮かび上がってきます。
誰かのために蕾から煮出したシロップをつくるように、食を介した優しい眼差しが随所に感じられるのが特徴です。

タイトルに込められた意味──「美しい戦場」とは?

「人生は思うほど険しくはないようで、善く生きようと願って目を凝らせば、本当に美しいものになって、叶えてくれる」

「戦場」とは、厳しさではなく、日々の選択と向き合いながら生きる誠実さのこと。
著者は、自らの暮らしを“戦い”としながらも、それを“美しい”ものとして肯定的に捉えています。
読む人それぞれに、「善く生きるとはどういうことか」を問いかけてくるような一冊です。

書籍情報

書名 わたしの美しい戦場
著者 寿木けい(すずき・けい)
発売日 2025年7月30日
定価 1,980円(税込)
ISBN 978-4-10-356391-4
出版社 新潮社
URL https://www.shinchosha.co.jp/book/356391/

著者プロフィール:寿木けい

富山県砺波市出身。
大学卒業後、編集者として働きながらエッセイ執筆を開始。
2023年、山梨市に「遠矢山房」を開業し、薪割りから料理、設えまですべてを一人で手がける。
著書に『わたしのごちそう365』『土を編む日々』『泣いてちゃごはんに遅れるよ』などがある。
ふたりの子どもと甲斐犬とともに暮らす。

著者からのメッセージ

「ぶどう畑の真ん中に忘れ去られていたこの古い家と出会い、自分の運命を試してみようと決めました。
ひとりで子どもを育てながら、手を動かし続けることで夢を叶えていく──
そんな“美しい戦場”を、短編映画を見るような気持ちで楽しんでもらえたら嬉しいです」

暮らしと食にまつわる物語を求めるすべての人へ
『わたしの美しい戦場』は、暮らしの中にある静かなドラマと、美味しいものがもたらす癒し、そして人生の再発見を描いた一冊です。
料理や田舎暮らしに興味のある方はもちろん、人生の転機にそっと寄り添ってくれる本を探している方にもおすすめです。

ぜひ書店にてお手に取ってみてください。