「農継ぎ」という言葉の、静かな重さ——高橋久美子『わたしの農継ぎ』

「農継ぎ」という言葉を、最初に目にしたとき、少し立ち止まった。

「跡継ぎ」でも「就農」でもない。「農を、継ぐ」。たった4文字の中に、どれほどの重さと温度が込められているか——それがタイトルだけで伝わってくる本は、なかなかない。

著者・高橋久美子さんについて

高橋久美子さんは、愛媛県出身の作家・詩人・作詞家。Dreams Come Trueをはじめとする多くのアーティストへ楽曲を提供してきた一方、詩集やエッセイの書き手としても知られている。代表的なエッセイ集に『ちょっと踊ったら、わたしの番』がある。

都市と地方、日常の小さな発見、食や土地とのつながりを丁寧に言葉にしてきた書き手だ。言葉を生業にしながら、土に近い場所に立ち続けてきた——そう感じさせる人である。

「農を継ぐ」とは何か——詩人の目で見た、土の話

農業継承は、いま日本社会が静かに、しかし確実に直面している問題だ。高齢化・後継者不足・耕作放棄地の拡大。数字で語られることが多いこのテーマを、高橋さんは「人の物語」として、詩人の言葉で書いた。

農業に詳しくなくても、農家の出身でなくても、この本は読める。むしろ、農業の外にいる人間だからこそ気づける視点が、ここにはある。

「何かを次の世代に渡すとはどういうことか」「場所と人はどう結びついているか」——この問いは、農家の人だけのものではない。どんな仕事をしていても、どんな場所で生きていても、誰かの胸に届く問いだ。農業の本であり、生き方の本でもある。

こんな人にすすめたい

  • 地方移住・田舎暮らしを考えている、あるいは関心がある人
  • 食や農について、入り口を探している人
  • 高橋久美子さんの詩やエッセイが好きな人
  • 親の仕事・故郷・受け継いだものと、いまあらためて向き合っている人
  • 「自分の根っこ」を問い直したいと感じている人

農業への興味がゼロでも、読み終わったあとに土の匂いがするような一冊だと思う。

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のこのこ書店では、高橋久美子『わたしの農継ぎ』を現在在庫しています。読んだ人の手から、また別の人の手へ——本も、継がれていく。気になった方はぜひ手に取ってみてください。

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