土と生きること——高橋久美子『わたしの農継ぎ』が描く、もうひとつの豊かさ

チャットモンチーのドラマーとして知られる高橋久美子さんが、愛媛の実家に戻り、農業を継いだ。

その経験を綴ったエッセイが『わたしの農継ぎ』です。音楽と詩と農業——一見かけ離れたように見えるそれらを、高橋さんは「どれも、土の上で生きることだ」と感じながら続けている。そのリアルで豊かな時間の記録がこの一冊に詰まっています。

著者・高橋久美子さんについて

高橋久美子さんは、3ピースロックバンド「チャットモンチー」のドラマー・作詞担当として活躍し、2018年の解散後は故郷の愛媛県に移住されました。詩集『今夜凄い嵐だけど私はここにいる』、エッセイ集『いっぴき』『ちょっと踊ったりすぎてるけどな』など、「生きることと正面から向き合う」視点が一貫した著作で多くの読者を惹きつけてきました。

「農継ぎ」という言葉が指すもの

「農継ぎ」——農業を継ぐこと。日本の農業の現場では、後継者不足が長年の課題です。家族の農を引き継ぐ決断は、体力的にも経済的にも、精神的にも簡単ではありません。でも、高橋さんが本書で書くのは苦労話だけではありません。土の感触、季節の変わり目、地域の人たちとのやりとり、音楽と農業を往き来する日々の中で見えてきた「創ること」の本質。農業を通じてしか書けない言葉が、本書には並んでいます。

都市を離れ、土と向き合うことで見えたもの

東京から離れ、愛媛に戻ることは、単なる「田舎暮らし」ではありませんでした。実家の農を引き継ぐことで、家族の歴史・土地の記憶・自分のルーツと否応なく向き合うことになる。「創ること」を生業にしてきた人間が、農業という「育てること」と出会ったとき何を感じるか。その問いへの高橋さんなりの答えが、本書には誠実に書かれています。

家族と土地を「継ぐ」ことへの問い

高齢になる親の農を引き受けること。それは農業という仕事を受け取るだけでなく、親が長年向き合ってきた土地・季節・苦労・喜びを、次の世代として引き受けることでもあります。「何かを継ぐこと」について考えたことがある人——仕事でも、家業でも、場所でも——本書はきっとその問いに新しい角度から光を当ててくれます。

こんな人に読んでほしい

  • チャットモンチー・高橋久美子さんのファン
  • 地方移住・農業・地域おこしに関心がある方
  • 都市での暮らし方や仕事に疑問を感じ始めた方
  • 自然・季節・食に丁寧に向き合いたい方
  • 「何かを継ぐこと」「故郷に戻ること」を考えている方

のこのこ書店でお取り扱い中です

高橋久美子さんの『わたしの農継ぎ』は、のこのこ書店でお取り扱い中です(在庫:2冊)。読み終えたあと、窓の外の景色が少し違って見える一冊です。ぜひ手に取ってみてください。